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 登場人物 ストーリ キャスト・豆知識 大長今テーマ曲 オナラ歌


37〜40話


第37話 母・皇太后
チェ女官長の働きかけで、皇太后が中宗に異を唱え、病気の治療を受けないと宣言する。皇太后は関節炎が悪化しており、また加齢のため、その他の症状があらわれにくく、予断を許さない状況にあった。中宗は母親を見殺しには出来ないと、皇太后に治療を受けさせるべく、公務は二の次にして、皇太后の機嫌を取り戻すことに専念。自身も食を絶ち、懸命に懇願する。今回の騒ぎの矛先が、実は左賛成(チャチャンソン)とチョンホに向いていることを察したチャングム。また、シン・イクピルとイ・ヒョヌクの因縁にも自分が関与していることから、チャングムは皇太后に賭けを申し出る。自分が出す謎に、皇太后が答えられればチャングムは命を差し出し、答えられなければ皇太后は治療を受ける、という条件。皇太后はチャングムの賭けに応じる。謎解きの猶予は一日。宮中はこの話で持ちきりとなり、トック夫妻は謎が解けず夜も眠れない。謎を解いたクミョンはチェ女官長を通じ、皇太后に報告する。そして、約束の時間がやってきた。
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シン・イクピルの治療を受けないと言い出した大妃。王と中殿も説得にあたるが、大妃は頑なな態度を崩そうとしない。何故突然大妃がそんなことを言い出したのか、王は勿論シン・イクピルを初めとする医官たちにも見当がつかなかったが、大妃の病状が刻々と悪化していることだけは確かだった。何か手を打たなければ、深刻な事態に至るのは明らかだ。
大妃の治療拒否により、左賛成とミン・ジョンホが進めようとしていた功臣田削減策も暗礁に乗り上げる。王が大妃のことを気にして功臣田の問題に集中できないのは勿論、この状況で無理に進めようとすれば却って王の反感を買う恐れもある。
シン・イクピルは御医にもひけを取らない優秀な医官であり、大妃が言うような「劣った医員」であるはずがない。誰もが何故大妃の意を測りかねている中、最も説得力のある意見を述べたのは日頃は役に立たないチョ・チボクだった。政治に関与できず、ソギョクソが廃止されるのも止められなかった大妃が、王に当てつけるためにこのようなことをしているのではないか・・・。
大妃に治療を受けさせるため、シン・イクピルは大妃殿の至密尚宮を説き伏せて、大妃の許可を得ぬまま直接面会して頼み込もうとする。だが、大妃の傍らにはイ・ヒョヌクがいた。不敵な笑みを浮かべるイ・ヒョヌクをよそに、治療を受けて欲しいと大妃に懇願するシン・イクピルだったが、大妃はかつてシン・イクピルが誤診により高官を死なせたことを理由に、彼の治療を拒否する。
オ・ギョモとチェ尚宮はイ・ヒョヌクを利用して、自分たちに都合の良い話を大妃に吹き込んでいた。功臣田の削減はもちろん、大妃が希望したソギョクソの再設置が進まないことや、誤診するような医官をチョ・グァンジョに傾倒しているという理由でイ・ヒョヌクを罷免してまで大妃の担当にしたのも左賛成とミン・ジョンホの陰謀だったというのである。イ・ヒョヌクの話を信じた大妃は、王が再び誤った道に進むのを止めさせなければならないと考えるようになっていたのだ。
そしてついに大妃は王に対して、チョ・グァンジョか自分かどちらかを選べと言い出す。中殿は「辛くとも公私ははっきり区別すべき」と王を諫めるが、大妃の容態が悪化していることを知った王はついに意志を曲げ、まずシン・イクピルの罷免、更にはソギョクソの再設置、功臣田削減撤回と、オ・ギョモたちの思惑通りの決定を下してしまう。左賛成は勲旧派が大妃の病気につけこんでいることを王に進言するが、王はそれを聞き入れる余裕を失っていた。
シン・イクピルが罷免されると知り、チャングムはまたしても思い切った行動を取る。王ではなく、自分と賭けをして欲しいと大妃に願い出たのである。一介の使喚医女が軽々しく口に出来るような内容ではなかったが、師の命は自分の命であるとまで言うチャングムの熱意に、大妃は彼女の話を聞く。
大妃は自分の命を賭けて王を試そうとしている。だがその賭けには余りにも多くの命がかかる。それならば、チャングム一人の命を賭けて一つの謎かけを解いて欲しい。それがチャングムの言い分だった。しかも、彼女は大妃は必ず治療を受けることになる、即ち自分が必ず勝つと言うのだが・・・。
「その方は古くからの食医でございました。また、その方は一家の奴婢で、あらゆる辛い仕事をしましたが、しかし家族全員の師でもありました。その方が生きている間はこの世は山でありましたが、亡くなるとこの世は水に沈んだという伝説がございます」この文章で言い表される人物を当てることが、チャングムが大妃に出した問いであった。
チャングムのこの謎かけは関係者に大きな波紋を広げる。これが成功すれば、オ・ギョモたちは大変な打撃を被ることになる。だが、もし失敗すれば三つの命が消えることにもなりかねないのだ。チャンドクだけはチャングムがそこまでやるなら大丈夫だと言い切るのだが・・・。
チェ尚宮も予想外の展開に焦りの色が濃い。
「こんな邪魔が入るとは!」
「大妃媽媽に全て頼ったがために招いた事態です」・・・クミョンの言葉にはかすかに棘があった。
そもそも、チャングムの出した問いの答は何なのか。ヨンノは内人たちを動員し、徹夜で書庫の蔵書の中から答えを探させようとする。
「チャングムはよくここに来ていたから、きっと答はこの中の本にあるわ」
どのような結論が出るにせよ、翌日には大妃の治療が始められる。長番内侍は水刺間と内医院の関係者を集め、今後の方針について話し合う。王はここ数日食事を摂っておらず、大妃は体が弱って食事もままならない状態になっている。食事にも工夫が必要だ。クミョンは王には鮑の肝粥、大妃には五子粥を供することを提案する。・・・鮑の肝粥と五子粥。それはかつてチャングムとクミョンが競合で作った料理だった。その時のことを思い出したクミョンは、チャングムの問いの答に気づく。
クミョンから答を聞いたチェ尚宮は、大妃にそれを報告する。
答を出す期限の日。大妃はチェ尚宮から答えを聞いて知っているにも関わらず、問いには答えず、シン・イクピルの治療を受けるとだけ告げる。
チェ尚宮が答えを大妃に教えたことを知っているミン尚宮とチャンイは、大妃が治療を受けることになったと聞いて安心はするものの、答を知っているはずの大妃の行動に疑問を抱く。それは二人だけではなく、事の経緯を知る者が一様に感じている疑問でもあった。
再びシン・イクピルの診療を受け始めた大妃のもとににチャングムは薬湯を届ける。チャングムの顔を見るや、
「しかし思い切ったことをしたものだ。考えれば考えるほど許し難い」と大妃。その言葉を聞いて王はチャングムを叱責しようとするのだが、大妃がそれを押しとどめ、チャングムの問いの答を一同に教えるのだった。
「答はまさに私です」
チャングムは大妃に促されて何故大妃が答なのか説明し始める。子供のために労苦を厭わぬ母親は家の中では奴婢であり、同時に誰よりも優れた師である。母親がいる間は家の中は安泰で、いなくなると涙で溢れる。チャングムの出した問いは、大妃に母親としての情愛を再確認させるためのものだったのだ。問いに答えられなければ治療を受けねばならず、答が判ってしまえば息子を苦しめる自分を省みなければならない。最初から大妃はこの賭けに負けることになっていたのである。
「これではどうにもできぬ。この娘に罰を与えることも、かといって褒美をを与えることも。憎らしいこの娘をどうすれば良いのでしょうね」
チャングムのことを心配して大妃殿までやって来ていたヨンセンは、チャングムと別れた後大妃殿から立ち去る王に出会う。だが、王は数年前に一夜を共にしたきりのヨンセンを覚えていない。目に涙を浮かべて王を見送るヨンセンであった。
王と大妃の間のわだかまりも解け、事件は解決したかに思われた。だが、大妃の健康状態はこの数日で一段と悪化しており、既に薬湯を飲むことすら出来ない状態になっていた。
内医院の医官と医女たちは対策を話し合うが、胃腸が弱り、気力の衰えた大妃の体は軽い薬剤も受け付けない。この状態では鍼を打つことにも危険が伴うため、一同は途方にくれるばかりだった。そして、彼らが協議している間にも大妃の体は弱っていき、更に症状が悪化したとの報せが大妃殿から届く。大妃を救う術はあるのか・・・。



第38話 丸薬の秘密
皇太后の容態が急変する。治療を拒否していた間に、薬を受け付けることが出来ないほど体が弱り、さらに脚気(かっけ)を発症していた。今の体力では鍼を打つことも出来ず、イクピルは治療法を模索する。ウンベクは水剌間(スラッカン)に食事を指示。しかし脚気によい食材はすべて皇太后の苦手なものばかりだった。クミョンに頼み、皇太后の今までの献立を見せてもらったチャングムはあることに気付く。チャングムの話を聞いたイクピルは、皇太后向けの特効薬作りをチャングムに任せる。クミョンは内医院(ネイウォン)の指示に従い、皇太后の食事を用意。しかし、嫌いな食材を使った料理とあって皇太后の食は進まない。一方チャングムの作った丸薬は味もよく、皇太后に好評だった。不審に思ったヨリはチャングムの後をつけ丸薬の秘密を暴く。それを聞いた皇后とユンスは、チャングムの行為を皇太后へのあざむきだと激怒。しかしそのころ、皇太后の身体には変化が訪れていた。ふたたび頭角をあらわし始めたチャングムに、危機感を募らせるクミョンたち。それを察したヨリはチェ一族に取引をもちかける。
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シン・イクピルはチャングム、シンビ、ヨリの三人を連れて大妃の診察に向かう。大妃は脚気を発症しており、それが脚気入心(脚気の症状が進み、麻痺が下腹部に及んだ状態)に至るまで悪化していた。急いで手を打たなければ命に関わる危険な状態だが、大妃の体は湯薬も食事も受け付けない。
人々の心配をよそに、チェ尚宮とチェ・パンスルはこの状況を喜んでいた。このまま大妃にもしものことがあれば、王も自らの責任を感じて左賛成の進言に耳を貸したことを後悔するようになるのは勿論、シン・イクピルとチャングムも宮中を追われるに違いない。
シン・イクピルは医書を調べ、何とか大妃の気力を取り戻す方法を探す。だが、思うような成果は得られない。
一方、チョン・ウンベクは大妃殿の焼厨房を訪れ、脚気に良い食材についてクミョンに説明するが、彼の話を聞いたクミョンは難色を示す。それらの食材は全て大妃の嫌いなものばかりだったのだ。チャングムにはそのことが妙に気に掛かる。
チョン・ウンベクらと共に一旦大妃殿を出たチャングムだったが、彼女は一人で再び大妃殿の焼厨房に戻り、大妃に出した料理の目録をクミョンから借り受ける。クミョンは当然貸し渋るが、医女であるチャングムに、大妃の治療のためと言われては断ることもできなかった。
チャングムは更に司?院(サオンウォン)で大妃殿の食材出納簿を見せてもらい、大妃の食習慣に問題があることに気づく。大妃はチョン・ウンベクが挙げた食材以外にも、脚気を防ぐ効果のある食物全般を嫌っていたのだ。
クミョンはチョン・ウンベクの指示に従って作った食事を大妃に出すが、大妃は食べることができない。ただでさえ体調が悪いのに、嫌いな食材ばかり出されたのでは無理もない。そのような食事を出しすよう指示した医官を呼べと息巻くチェ尚宮だったが・・・。
チャングムは大妃の食習慣から、ある丸薬の処方を思いつき、シン・イクピルに相談していた。その処方は脚気の治療に効果があると判断したシン・イクピルはチャングムに許可を与える。ただし、彼は材料を大妃に知られぬよう密かに作れという条件を出す。どうやらチャングムは大妃の嫌いな食物を使おうとしているようだ。
チャングムはヨンセンに頼んで厨房を貸してもらい、二人で丸薬を作り始める。まるで水刺間時代に戻ったようだと嬉しそうなヨンセン。後宮に入りはしたものの、何年間も孤独に過ごして来たヨンセンにとっては久々に心安まるひとときであった。
大妃本人も食事を摂ろうと努力はするのだが、何度も吐いてしまい、食べることができずにいた。だが、シン・イクピルとチャングムが持って来た丸薬はすんなりと食べてしまう。
「薬なのにとても美味しい。栗のお菓子のようだ」と驚く大妃、そしてクミョン。
ヨリは本来自分の役目である丸薬の調合を何故チャングムにやらせたのかと抗議するが、シン・イクピルはこの丸薬を作るのはチャングムが適任であるとヨリの不満を一蹴する。大妃は毎日チャングムの丸薬を食べることになり、丸薬作りはチャングムとヨンセンの日課となった。そして、大妃は少しずつ健康を取り戻して行く。
こっそりチャングムの後をつけたヨリは、チャングムとヨンセンが密かに丸薬を作っている厨房で、丸薬の原料が何だったのかを知り、チョン・ユンスにそれを報告する。チャングムは大妃の嫌いな大蒜を使っていたのである。チョン・ユンスとともにそれを知った中殿は自らヨンセンの厨房に乗り込み、チャングムを叱りつける。大妃本人や中殿のみならず、内医院の責任者であるチョン・ユンスにも知らせることなく大蒜を使った丸薬を出していたことに腹を立てた中殿は担当の医官を変えるように命じる。
チョン・ユンスは事情を説明するシン・イクピルの言葉にも耳を貸さず、大妃が飲み込むことができないという問題には無策のまま、従来通りの湯薬を出すように命じる。だが、丸薬の効果は着実に上がっており、大妃はこれまでは飲めなかった湯薬も飲めるようになっていた。
中殿とチョン・ウンベクの口から丸薬の正体を知らされた大妃はシン・イクピルとチャングムを呼び、二人の功績を称える。特に大蒜の臭いを消して大妃にも食べられるようにしたチャングムの工夫に大妃は賞賛を惜しまなかった。更にシン・イクピルから大妃の食習慣を調べて大蒜を処方したのもチャングムであったことを知らされ、大妃と中殿のチャングムに対する評価は一層高まる。そして、大妃はついに鍼治療を受けられるところまで回復し、王が安心したのは勿論、シン・イクピルに対する大妃の信頼感も高まる結果になった。
「どうした。誉められるのを待っているのか?」
「はい」
「明日からは湯薬の処方を変える。いいな。」
「・・・はい。・・・では。」
「・・・ご苦労だった」
ぶっきらぼうな言い方だったが、チャングムは師の言葉に満面の笑みを浮かべるのだった。
シン・イクピルとチャングムに王から恩賞が下されることが決まり、そのことを伝えに来た長番内侍は医女チャングムと、かつて水刺間を追われたチャングムが同一人物であったことに気づく。
長番内侍にとっても、チョン尚宮とハン尚宮の死は痛恨事であった。チャングムが宮中に戻ったとはいえ、宮女とは全く扱いの違う医女としてであり、その辛い立場は彼にもよくわかっていた。「大したことができないが、少しは手助けできるぞ。何かあったら訪ねて来い」
「あの・・・ではひとつお願いがございます」
シン・イクピルとチャングムとは対照的に、大妃の病気を利用しようとしたオ・ギョモとチェ尚宮は王の信頼を失いつつあった。功臣田の削減が決定したばかりか、大妃の治療に功績を上げたチャングムを追い出すことも難しくなり、彼らの立場は急速に悪化する。

 

一方、ヨリはクミョンへの接近を図る。チャングムを追い出すのに協力するというのだ。協力の理由を聞かれ、「忠誠を誓えば富と権力が得られると聞きました」と答えるヨリ。チョン・ユンスの力でチャングムを追い出すことが難しくなった今、クミョンにはそれを断る理由などない。・・・だが、ヨリには更に深い企みがあったのだ。

ミン尚宮の発案で、かつてのチョン尚宮とハン尚宮の教え子たちはヨンセンの部屋に集まって久々の料理と会食を楽しむ。チャングムとヨンセンだけでなく、ミン尚宮とチャンイも料理から遠ざかっていただけに楽しさもひとしおだ。だが、ひょんなことからヨンセンが王に出会ったのに顔も上げられずにいた時の話題になる。

夜更けの四阿で、王を惹きつける方法を伝授するミン尚宮。月の陰気を吸い込み、科を作り・・・。彼女はいつの日か承恩を受ける日のために準備していたのだという。

ミン尚宮が妙なことを教え込んでいる間に、王がヨンセンの部屋にやって来ていた。チャングムが長番内侍に頼んだのは、王の目をヨンセンに向かせて欲しいということだったのだ。内侍に呼ばれて慌てて部屋に戻るヨンセンだったが、そこに王の姿はなかった。
だが更に夜が更けて、王はヨンセンの部屋に再びやってくる。机につっぷして泣きながら眠ってしまったヨンセンを見て、王はかつて四阿で泣いていた彼女を思い出す。王を迎え、ミン尚宮に教えられたことを必死にやってみるヨンセンだったが、どうにも動作がぎこちない。その微笑ましい努力に王は静かに報いるのだった。
「チャングムさんのお手柄です」
「いいえ、そんな・・・」
「だが、追い込まれると何でもする者どもです。油断せぬよう」
「私より、チョンホ様の方が危のうございます。どうぞお気を付けて」
ミン・ジョンホと別れた後、チャングムは中宮殿から呼び出しを受ける。中殿の流産に続いて今回の大妃の治療と、チャングムの功労に対して礼を述べる中殿。そして、チャングムが何故自分の命も省みずシン・イクピルを助けようとしたのか、その理由を聞く。シン・イクピルが修練中の恩師であること、王の意志を尊重して医女を妓生として使うことに抵抗した心正しい人物であること。だからこそ、命を賭けてでも助けねばならないと考えたことを語るチャングム。
チャングムと話しているうちに中殿は彼女がかつて水刺間にいたことを思い出す。そして、中殿もハン尚宮の無実を確信しており、いつかチャングムの力になると約束する。思いも寄らぬ労りの言葉に、我知らず涙を流すチャングムであった。

そして、中殿もまたチャングムに力になって欲しいと頼み、中殿と後宮の担当医女となることを命じられる。そして中殿はチャングムが御膳競演の時に作ったメミルチョンビョンをもう一度食べたいと言う。

厨房で中殿のための料理に取りかかるチャングム。だが、そこに中殿の夜食を用意するためにクミョンがやって来てしまう・・・。



第39話 「ヨリの企み」

医女チャングムが以前、水剌間(スラッカン)の女官だったことを思い出した皇后。皇后の様子に気付いたクミョンは、ヨリを呼び出す。そのころ都の近くで疫病が発生し、中宗は医務官と医女の派遣を言い渡す。ヨリは自ら疫病地域への派遣に志願、その一方で、策をろうしてチャングムの失態を作り出す。策にはまったチャングムは内医院(ネイウォン)内で孤立、医女仲間の和を乱したことから疫病地域へはチャングムが派遣されることになる。ヨリは疫病地域へ同行するユンスにあとのことを頼む。疫病地域へはユンスのほか、特使補佐としてチョンホが同行していた。ユンスはチャングムに宮中から持ってきた薬材の管理を任せる。しかし状況は深刻で、宮中からヨリたちも動員されることに。原因が特定できないまま患者は増えつづけ、疫病の発生した村に封鎖令が出されることになる。

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中殿のためにメミルチョンビョンを作ろうと懐かしい水刺間の厨房に入ったチャングムだったが、同じく中殿の夜食を作るために厨房にやってきたクミョンに追い出されてしまう。「誰もが入ってきていい場所ではないわ。今のお前は医女よ。すぐに出て行きなさい」チャングムの後ろ姿を見送るクミョンの目には、怒りよりも怖れの色が浮かんでいた。
チャングムは怒りと悲しみの入り交じった表情で厨房を出る。だが、ヨンセンの厨房を借りて料理に取りかかるうちに彼女の顔にはいつしか微笑みが浮かんでいた。・・・それは終始無表情に料理するクミョンとは対照的であった。
夜食を運んできたクミョンに、中殿は
「水刺間に知らせるのをすっかり忘れていた」と言う。思いも寄らぬ言葉に戸惑うクミョン。・・・クミョンが用意した夜食もチョンビョンだった。
やや遅れて、チャングムがメミルチョンビョンを運んでくる。驚くクミョン。何故チャングムが中殿の夜食を・・・。
「中殿媽媽、久しぶりにですので、前と同じ味かどうか心配でございます」
「そう、この味だ。前と少しも変わっていない」満足げにチャングムの料理を食べる中殿。
「悪かった。連絡しておくべきだったのに。チャングムの味が恋しくなって、作ってくれるように頼んだのだ。悪いが、お前が作った方は食べられそうにない」
身分の低い医女が作った料理を食べるために手もつけずに下げさせるとは、水刺間最高尚宮に対するこれ以上ない侮辱だった。だが、相手は中殿。クミョンは黙って料理を下げるしかなかった。
中宮殿から下がる途中、湯薬を運んできたヨリとすれ違ったクミョンは、後で自分の部屋に来るように言う。今は「チャングムを捧げる」というヨリの言葉を信じるしかなかった。
久しぶりに帰宅したチャングムの疲れ果てた様子を見て、トックの妻はそれまで滅多に家に戻らないチャングムへの不満を口にしていたことも忘れ、遅い夕食を用意する。トックは妻の態度の豹変ぶりに何か下心でもあるのかと勘ぐるのだが、彼女にとってチャングムはもう実の娘同様の存在だったのだ。
チャングムは余りの疲労から料理ができるのを待つうちに眠り込んでしまっていた。優しく布団をかけてやりながらつぶやくトックの妻。
「この子、どういう巡り合わせなのか、いつも苦労ばかりだねえ・・・。それに、女官だった子が今は医女だろ。辛いと思うよ。こうしてうちに帰ってきて安心し切って寝てるのを見ると、何だか胸が痛くなるよ」
チャングムを訪ねて家の軒先まで来ていたミン・ジョンホは、トック夫婦のやり取りを聞いてそのまま声をかけずに立ち去る。
「眠って下さい。ただ、ぐっすりと」
チャングムはミン尚宮・チャンイと共にヨンセンが王と過ごした一夜のことを聞いていた。ミン尚宮が教えた通りにはできなかったが、そのぎこちなさが王の目には可愛く映り、また来ると言ってもらえたという話を聞いて喜ぶ三人。王がやって来たことで、ヨンセン付きの女官の態度も丁寧になり、やっと彼女にも幸せな日々がやってくるかに思われた。
クミョンの部屋を訪ねたヨリは、チャングムを約束通り差し出す代わりに望み通りの対価を支払うことをクミョンに約束させる。それは忠誠の代償に庇護を得ようとする者の交渉ではなかった。だが、クミョンはやや不快な表情を浮かべはするものの、その理由を深く考えようとはしなかった・・・。
都城に近い地域で疫病が発生したとの報せを受け、王は急遽現地の調査と救済のためにチョン・ユンス以下数名の医官と兵士を派遣することを決定する。チョン・ユンスは本来王の健康管理に専念すべき御医であり、疫病地域に派遣することに重臣たちは反対するが、王は折からの凶作に加えて疫病が蔓延する事態だけは何としても避けるべきだとして押し切ってしまう。

これを受けて内医院ではチョン・ユンスに随行する医官と医女の人選が始まる。医官はチョン・ユンス自身の指名によりチョ・チボクが選ばれ、医女の人選は御医女に任された。ところが、ヨリは自ら志願して疫病地域に行かせて欲しいと言い出す。大妃や中殿の件での反省から、改めてやり直すつもりで患者の救済に当たりたいというのだ。無論、ヨリが本気でそんなことを考えている訳はない。一体何を企んでいるのか・・・。

その日からヨリのチャングムに対する嫌がらせが始まった。もっともらしい口実を設けてチャングムに中殿の薬湯を持たせる一方で、急病のセンガッシを診て欲しいという伝言をわざと伝えずにおいたのである。
センガッシの容態は悪化し、チャングムは内医院の医女たちから白い目で見られるようになる。王族に対する功績を鼻にかけ、本来の業務を疎かにしたばかりか、先輩であるヨリを出し抜こうとしていると思われてしまったのだ。チャングムは事情を説明しようとするが御医女は彼女の話に耳を貸さず、罰として中宮殿への出入りを禁止し、内医院の各施設の掃除をするよう命じるのだった。

御医女(NHK版では「医女長」)は言うに及ばず、シンビにまで功名心を諫められ、チャングムは孤立無援の状態になってしまった。技術の高さと表面的な謙虚さで医女たちから絶大な信頼を集めているヨリに対して、医女修練の段階でシン・イクピルから慢心故の「不通」を出された過去を持つチャングムは余りに不利であった。

ヨリの策略はそれだけでは終わらなかった。食事に出してはならない食材を記した申し送り書が水刺間に届かず、誤って禁忌食材を含む料理が出されるという事件が起こったのだ。申し送り書を水刺間に届けるのはヨリの役目だったが、ヨリは執務室には何も無かったという。チョン・ウンベクの叱責を受けて医女たちが執務室を探したところ、片づけられた書物の間から申し送り書が出てくる。前日、申し送り書が置かれた机を片づけたのはチャングムであり、彼女がヨリを陥れようとしてやったことだと疑われるのは避けようがなかった。
たまりかねたチャングムは薬房でヨリを問い詰めようとするが、ヨリは何故かチャングムを書庫に連れ出し、そこで話を聞くという。チャングムが何を言っても知らぬ存ぜぬを通していたヨリだったが、チャングムの背後にシン・イクピルの姿を認めるや、態度を豹変させる。
「私はお前を妬んだりしていない。手柄を立てていけば自ずと道は開けるのに、何故私を踏みつけにしようとするの?」そういって泣き出すヨリ。ヨリを責め立てるチャングムの姿だけを見たシン・イクピルもまた、チャングムを誤解してしまうのだった。
チャングムを恵民署(ヘミンソ)に送るべきだと主張するシン・イクピル。昔から彼女を知るチョン・ウンベクは彼女を庇うが、実際に問題が起きている以上、無条件に不問に付す訳にも行かない。結局チャングムはヨリに代わって疫病地域に派遣されることになったのだった。
誰一人チャングムの話を聞こうとしない中、シンビだけはチャングムを慰める。
「チャングム、また戻って来られるのだから、余りがっかりしないでね」
「シンビ、私を信じてくれる?その一言が今の私には必要なの」
「あなたを信じればヨリ様が悪者になるし、ヨリ様を信じればあなたが悪者になる。どちらも悪者にしないであなたを信じたいと思うけど・・・でも、あなたを信じるわ!」
「ありがとう・・・」
人気のない場所で言葉を交わすチョン・ユンスとヨリ。
「お前の策士ぶりには負ける。だから儂の側に置いているのだが・・・。留守の間、後のことは頼む」
「私ができるのはここまで。後はチョン・ユンス様がうまくやって下さい」語り合う二人の表情は、単なる医官と医女の関係ではないことを窺わせた。
パク・プギョムを監賑御史(カムジンオサ 飢饉等に際し、地方に赴いて救済事業の監督に当たる臨時官職)、ミン・ジョンホを副御史として調査隊が編成される。落ち込んでいたチャングムも、ミン・ジョンホが同行すると知ってやや安心したようだ。
現地の状況は悲惨そのものだった。多くの人々が病に倒れ、病舎に入りきれない者は屋外に寝かされているような有様だ。医官としての実力のないチョ・チボクを除く全員が、到着と同時に病人の世話に忙殺される。そんな中、チャングムはチョン・ユンスから薬材倉庫の管理を任される。
彼らの必死の努力にも関わらず、疫病の実態は一向につかめない。患者の症状には異常なばらつきがあり、短期間に死ぬ者もいれば、回復してしまう者もいる。チョン・ユンスもこれまでに見たことのない疫病だと首をひねる。いずれにせよ、現有の人員と薬材ではとても足りないことは確かだ。ミン・ジョンホが一度宮中に戻って現状を報した上で、増員と薬材の補充の手配を取ることになった。
特に薬材不足は深刻で、倉庫の管理を任されたチャングムも対応に苦労していた。元々少ない薬材を求めてやってくる医女たちの要求を捌くのに追われて食事もままならない彼女に、チョ・チボクが食事を届けてくれる。そしてチャングムは彼から意外なことを頼まれる。チボクにはチボクなりの悩みがあったのだ・・・。
疫病地域に派遣されたからといって問題の解決にはならないと心配するクミョンに、ヨリはその真意を語る。中殿の手が及ばない場所に送り込むのは単なる準備に過ぎず、本当の狙いはその先にあった。その役割を担うのはチョン・ユンスである。
パク・プギョムの元に、一人の罪人が連行される。この男は疫病の特効薬と称して丸薬を売っていたのだが、その材料が問題だった。薬材倉庫の鍵を持っている者が男に薬材を横流しした上で金を渡し、売り捌かせていたというのだ。そして、その男はチャングムを見て、あの医女から金を貰ったと証言してしまう。チャングムはまたしてもいわれのない嫌疑をかけられてしまったのだ。
チャングムの窮地を救ったのは意外にもチョ・チボクだった。医員としての技術を持たない彼は病舎で働くことが苦痛で、薬材倉庫の管理をチャングムと交代してもらっていたのだ。男が薬材を受け取ったという日に鍵を持っていたのはチョ・チボクだった。男はそんなことになっているとは知らず、指示された通りに嘘の証言をしてしまったのである。
増援の医女たちが到着し、チョン・ユンスは企みが失敗に終わったことをヨリに話す。新たな策を講じるヨリ・・・。
ミン・ジョンホは宮中で新たな情報を入手して来ていた。同じような疫病が他の地域でも発生しており、中にはここよりも更に都城に近い場所もあるという。その報告を受け、この村の放棄が決定された。全員が翌日にはここを撤退し、その後外部に出る道は封鎖されるのだ。
その決定は村人を動揺させないよう、密かに伝えられていく。ヨリはこの状況を利用する方法を考えついていた。
薬材が底を突いたことを報告しに来たチャングムに撤収命令が出たことを教える代わりに、遠方の市場に行って薬材を補充するよう指示するヨリ。チャングムが撤収の刻限までに戻ってこられないようにしたのだ。
チャングムは薬材を手に入れて戻ってくるが、もうそこには兵士も医員もいなかった。村人たちは、口々に宮中から来た人々が逃げてしまったと騒いでいる。チャングムは疫病が蔓延し、封鎖されたこの村に取り残されてしまったのである。
ミン・ジョンホはチャングムがいないことに気づき、単身村へと引き返す。だが道は既に封鎖されてそこから先に行くことができない。
「村へ戻れば、こちらにはもう戻れませんぞ!」
「それでも行かねば!」
「村へお戻りになれば、怒っている民に八つ裂きにされかねません」
「よくわかっている!だが行く!」
「命令を下した方がそのような・・・王命でございましょう!」
「そうだ。だが私は行く!」
制止を振り切り、ミン・ジョンホは封鎖された村に向かう。チャングムを救うために。
ミン・ジョンホはやっとチャングムを見つける。
「行きましょう、一緒に。さあ、ここを出て行かねば!」
「・・・私は行けません。私は村に残された民と同じ境遇です。私は見捨てられてしまいました。内医院の医女仲間から、見捨てられたのです」
チャングムを救い出したい一心で村に戻ったミン・ジョンホ。彼はこれからチャングムを立ち直らせ、再び封鎖された村から出て行かねばならない。ここを脱出する方法はあるのだろうか・・・。



第40話 「疫病発生」
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姿の見当たらないチャングムを探し、封鎖された村に戻ったチョンホ。チャングムを見つけたものの、仲間に見捨てられたチャングムの嘆きは深い。一方、見捨てられた村人たちの怒りは戻ってきたチョンホに向けられる。チャングムは村人に治療を約束し、いったんは怒りを収める村人たち。しかし薬がほとんどないことを知った村人は再び暴徒化する。チャングムは村人と再度治療の約束を取り付け、チョンホに村を出て薬を調達するよう頼む。チョンホはチャングムに教わった薬屋目指し、馬を走らせ村を出る。一人村に残ったチャングムはできる限りの治療を開始、しかしそのチャングムにも疫病の症状があらわれ始める。それを知った村人は怒りに任せ、蔵にチャングムを閉じ込める。一方そのころ、宮中では特使補佐のチョンホの無断離脱が取りざたされていた。内医院(ネイウォン)ではチャングムが逃亡したとの見方が大半を占め、免職は時間の問題だった。ヨリはクミョンに自分の望みを告げ、クミョンはヨリをチェ女官長に引き合わせる。

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手近な民家に入り、ミン・ジョンホはチャングムから事情を聞く。彼女は医女たちから見放され、死地に追いやられたという事実に打ちひしがれていた。ただ自分の道を歩んで来ただけなのに、何故いつも我慢ばかりを強いられるのか。
「私が何をしましたか?一体私が何をしたというのでしょう?」
「チャングムさんは何も悪くない。越えねばならぬ壁がもう一つできただけです。人という壁が。手柄を立てれば立てるほど、医術に優れるほど、壁が高くなるのかも知れません。でも、乗り越えて下さい。今までの成功もここで挫けてしまっては水の泡です」
「でも自信がありません。いいえ、自信が失せてしまいました」
「自信がなくとも大丈夫。心で成し遂げればいいのです。しっかりと立たねばなりません。弱音を吐いてはなりません。あなたらしくない」
ミン・ジョンホの励ましを受け、再びチャングムは患者たちの元に向かう。だが、官員たちがが健康な人間まで含めて村を見殺しにしたことを知り、怒り狂った村人たちが二人を襲う。官員たちが王命を受けて仕方なく従っただけだと説明するミン・ジョンホだったが、その弁明が却って村人たちの怒りに火を付け、彼は棍棒で殴り倒されてしまう。
咄嗟にミン・ジョンホを庇って暴徒と化した村人たちの間に割って入るチャングム。
「自分の言い分が正しいからといって、人を殺してどうなりますか!自分が苦しいから、人を苦しませてどうなりますか!」
だが、死の恐怖に駆られて暴力に走った人々に、理を説いても納得するはずがない。
「じゃあ、俺たちに死ねというのか!」
「皆さんは死んだりしません!私は内医院の医女です。!私が治します!」
とりあえず村人を鎮め、協力して病人の治療に取りかかる二人だったが、薬材が全く足りず、手の打ちようがない。薬がないことを知った村人たちは再びミン・ジョンホに怒りをぶつける。
ミン・ジョンホを縛り上げて暴行を加え、チャングムに薬をよこせと迫る村人たちに、今度は彼女が怒りを爆発させる。
「少ししかない薬を取り合ってこのまま死にたいんですか?ええ?それならどなたにも薬は差し上げません!今残っている薬はほんの少しだけです。食べ物もほとんどありません。生き延びるには、この方に頼るしかありません!近くの村に薬を取りに行っていただくのです!よく考えて下さい。今薬を手に入れて来られるのは誰です?誰ですか!」
村人たちはミン・ジョンホが薬を取りに行くことには同意するものの、明日までに戻らなければチャングムを殺すという。
チャングムから間もなく薬材が届けられるという薬房の場所を聞き、村を発とうとするミン・ジョンホ。その彼をチャングムが呼び止める。
「他に必要なものでも?」
「・・・くれぐれもお気を付けて」
そして彼女は黙って彼の後ろ姿を見送る。その表情にはミン・ジョンホに伝えることのできなかったある想いが込められていた・・・。
ミン・ジョンホは村を封鎖する番兵を背後から襲って気絶させ、馬を駆って村を出る。彼に与えられた時間は決して多くない。
一人で大勢の患者を看病しながら、チャングムはその目に涙を浮かべる。
「チョンホ様、さようなら。嬉しかったです。私のことを探しに来て下さって。それだけで十分です」

チャングムは自分にも患者たちと同じ症状が出始めていることに気づく。彼女も感染してしまったのだ。

症状の悪化した患者の一人が苦しい息の下でチャングムに言う。
「本当にあの方は薬を持って来るのですか?戻ってきませんよね?殺されてはおかわいそうだと思い、行かせるのに賛成したけど、戻って来ませんよね?疫病の村から逃げ出せたのに戻ってくるはずがありませんよ。逃げてしまうに決まっています。まして両班ですもの。私たち死ぬんですか?このままみんな助からないんですか?死ぬんですか?」

すっかり日が暮れる頃になって、ミン・ジョンホはチャングムに指示されたヨンジェ村の薬房に辿り着いたが、そこには薬材どころか、人影すらなかった。チャングムは彼を救うために嘘をついたのだ。
宮中ではミン・ジョンホとチャングムが戻って来ないことが問題になっていた。パク・プギョムとチョン・ユンスは、二人が疫病に怖じ気づいて逃亡したということで話を片づけようとする。彼らがそんなことをするはずがないと知る人々は、それぞれの立場で二人を庇おうとするが、当人たちから全く連絡もないのでは庇うにも限界がある。ヨリの企みは成功したのだ。
ヨリを部屋に呼び、彼女が望む褒美を訪ねるクミョン。
「御医女(医女長)になりたいのか?」
「違います。その程度なら自分の力で叶えます」
そのヨリの言葉は、チェ一族の一員であるが故に実力だけで最高尚宮になる道を選ぶことを許されなかったクミョンにとって痛烈な皮肉であった。
「チェ・パンスル様の薬材廛の権利をいただきます。最高尚宮様と提調尚宮様にはチャングムはそれだけの価値があると存じます」
これは事実上チェ一族に対する脅迫であった。
「・・・大した子だね。
では、事が上手く運んだら・・・」 
「必ず上手く行きます。監賑御史のパク・プギョム様がお怒りになり、厳しい命令をお下しになりました故」
チャングムは自分の体の変調を隠して病人の看護を続けていたが、とうとう村人の一人がチャングムも発病していることに気づいてしまう。約束の一日が過ぎようとしているのに戻ってこないミン・ジョンホと、疫病に罹っている医女。自分たちを救うために残ったのではなく、発病していたから置いて行かれただけだったのではないか。村人たちの苛立ちはチャングムへと向かい、彼女は倉の中に閉じこめられてしまうのだった。
チャングムが倉に押し込められるのと相前後して、村に火事が起こる。パク・プギョムは村を焼き払うよう命令したのだ。村人たちは、ミン・ジョンホが命じてやらせたことだと誤解し、チャングムを倉に閉じこめたまま立ち去ってしまう。
炎の中を逃げまどう人々。やがてチャングムが閉じこめられた倉の中にも煙が回り始める。チャングムは必死に助けを求めるが、誰も助けてはくれない・・・。
ミン・ジョンホはようやく村に戻って来る。だが、そこは既に火の海で、チャングムの姿もない。
朦朧とする意識の中、チャングムは自分の愛する人の死を思っていた。野苺を食べ、
「とても美味しいわ」と言い残して逝った母。彼女の背中で「先に宮中に戻る」と言って去ったハン尚宮。
「みんなどうしてなの?私は悪いことなんか何もしていないのに!私にこれからどうしろって言うんですか?私、もう頑張りません。今度こそ休みます・・・」
ミン・ジョンホは、倉の中で意識を失って倒れているチャングムを見つけ助け出す。
炎を避け、村のはずれの岩場に彼女を横たえ、必死に呼びかけるミン・ジョンホ。
「チャングムさん!チャングムさん!死んではいけません!死なないで下さい!お願いだ、目を開けて・・・チャングムさん!」ゆっくりと目を開くチャングム。
「怖かったです!二度とお会いできないと思って・・・!」
「私が戻らないはずがないでしょう!自分より私を大切に思い、危険から逃がそうとしたあなたを一人残して逃げたりするはずがないでしょう!」
「戻って下さってありがとうございます・・・。本当にありがとうございます・・・チョンホ様!」
二人は再び村人の治療を始める。村人に向かってミン・ジョンホは自分が薬を持って戻ってきたことと、もう一人医女を連れて来たことを伝える。
「もう一人って、一体誰が・・・」
「私よ」
ミン・ジョンホが連れて来た医女とはチャンドクだったのだ。彼は都城まで戻り、薬材を手に入れた上でチャンドクに助けを求めていたのである。
チャングムと共に病人を診ていたチャンドクはおかしな現象に出会う。疫病に冒された母親の乳を飲んだ赤ん坊が感染していなかったのだ。その話を聞いたチャングムも、一家全員が発病した例がなかったことに思い至る。それは、この病気が伝染しないことを意味する。当初からこの疫病には奇妙な点があった。発病後死に至る者がいる一方で、快癒した者もいる。加えて伝染しないのにこれだけ広がってしまうとは、一体どのような疫病なのか・・・。
チャングムは村の中を調べるうちに、民家の台所に腐った野菜が置かれているのを見つける。この野菜が何か関係しているのか・・・。
半月が過ぎても二人からは何の連絡もない。宮中では職務放棄と見なす空気が支配的になっていた。このまま戻ってきたとしても二人は罷免されることになる。チャングムに限ってそんなことがあるはずがないと気をもむヨンセンだったが、彼女にはどうすることもできない。
一方、内医院には開城(ケソン)と陰城(ウムソン)で今回の疫病と同じような病気が蔓延しているとの報告が届いていた。しかも、他にも疑わしい地域があるという。チョン・ユンスは疫病発生地から離れた開城や陰城に疫病が飛び火した原因を突き止めるべく、チョン・ウンベクとシン・イクピルに現地調査を命じる。
一方、チャングムは見捨てられた村で、この疫病の核心に迫りつつあった。この村には植物の病気が蔓延していたのだ。畑の作物のみならず山菜までが萎びて傷んでしまったという。傷んだ作物は焼き捨てていたが、全て捨ててしまうと彼らの生活が成り立たないため、無事なものは売り、残りの一部は自分たちで食べてしまっていたらしい。だから腐った野菜が台所にあったのだ。
植物の傷んだ部分や芽の部分には毒が生じ、食べた者に食中毒を引き起こすことがある。もしも病気にかかった野菜による食中毒が原因だとすると、人間同士の接触で伝染しないことも説明がつく。疫病ではなく、集団食中毒だったのだ。この村は前年の水害で穀物が壊滅的な打撃を受け、冬野菜を食べて飢えを凌いでいた。発病後も他に食物がなかったため、病状が悪化し続けていたのだ。チャングムたちは村人に傷んだ野菜を食べないよう伝えるとともに、患者に与える薬を食中毒患者に対する処方に切り替える。
この村に来て以来、働きづめのチャングムを気遣い、少しでも休ませようと彼女の仕事を代わってやるミン・ジョンホ。そして、一応遠慮はしたものの彼の申し出を嬉しそうに受け容れるチャングム。この悲惨な事件が二人の絆をより強いものにしていた。
患者たちはだんだんと快方に向かい始め、彼らが食中毒であったことは確実になった。だが、この村だけでなく他の地域でも「疫病」が発生しているとしたら、早急にそのことを宮中に伝えなければ救える民も救えなくなってしまう。チャンドクに残った患者の治療を任せ、チャングムとミン・ジョンホは周辺の状況調査に向かう。彼らが心配した通り、他の地域にも植物の病気は広がっており、中には宮中に納められた野菜もあった。急がなければ宮中にも被害が出てしまう。
ヨリに薬材廛の権利を与える証文を渡すチェ尚宮。全てが終わったと思われたその時、チャングムが宮中に戻ったという報告がもたらされる。
チャングムとミン・ジョンホは職務放棄により不在中に罷免されており、宮中に戻ることはもう許されない。そのことを厳しい口調で告げるオ・ギョモとチョン・ユンス。だが、彼らがは疫病の原因を突きとめたという言葉には彼らも耳を貸さない訳には行かななかった。
とはいえ、植物の伝染病が原因で食中毒が起こったという事例は過去に報告されたことがなく、にわかには信じてもらえない。宮中には常に状態の良い野菜しか納入されていない上、宮外で起こった小規模な集団食中毒は注目されることもないため、記録に残らないのだ。だが、チョ・チボクは自分の立場も考えず、一人堂々と二人を賞賛する。
「オ・ギョモ様!これは大手柄です!この二人は王命に従い、原因を突きとめたのです。野菜の病気と!」チョ・チボクの言葉にどれほどの効果があったのかはわからないにせよ、オ・ギョモとチョン・ユンスは迷い始める。もし本当に彼らが原因を突きとめたのだとしたら・・・。
時を同じくして、開城と陰城の調査に出向いていたチョン・ウンベクとシン・イクピルが宮中に戻る。彼らの所見も疫病とは考えられないというものだった。そして彼らはチャングムが植物の病気に起因する集団食中毒であると主張していることを知り、有り得ることだと頷く。
内医院と水刺間で対策が協議されるが、チェ尚宮はチャングムの説を容れようとしない。ここでミン・ジョンホとチャングムが手柄を立てて宮中に戻ることなど、認める訳には行かないのだ。
「仕事をそっちのけにして遅れて戻ってきた言い訳にしか聞こえないのですが?」
そんなチェ尚宮に、ミン・ジョンホが逆襲する。
「ではいかがです?ご自分で確かめてごらんになっては?そこまで仰るなら、傷んだ野菜を召し上がって下さい」長番内侍もこれに賛同し、引っ込みがつかなくなったチェ尚宮は、提調尚宮自らが試すことはないというオ・ギョモの制止も聞かず、その提案を受けてしまう。
一同が固唾を飲む中、チェ尚宮は病気にかかった大根を生のまま食べる。
そしてその翌日。チェ尚宮は発病する。クミョンが部屋にやって来た時には、高熱を発し、立ち上がることもできない状態になっていた。
チェ尚宮発病の報せを受け、オ・ギョモは即刻各地の官衙及び恵民署へ連絡するよう命じる。
微笑み合うチャングムとミン・ジョンホ。そして冷ややかな目でチャングムを見つめるクミョン。
食中毒の症状に苦しむチェ尚宮の部屋に、治療のためにやって来た医女はチャングムだった。
「お・・・お前が何故・・・」
「提調尚宮様の治療には私が当たります」
「仇を助けてやるか、見捨てるか」かつて「まだ心をきめかねる」と答えたチョン・ウンベクからの問いに、彼女自らの行動を以て答える時が来ていた